「何をしても腰が痛い…」 「お尻から足にかけて、しびれや痛みがある…」 「歩いていると足が痛くなって、少し休まないと進めない…」
もし、あなたがこのような症状に悩まされているなら、それは単なる腰痛ではなく**「すべり症」**が原因かもしれません。
すべり症は、背骨の一部である「椎骨(ついこつ)」が前後にずれてしまうことで、神経を圧迫し、腰痛や足のしびれといった様々な不調を引き起こす病気です。
そして、あまり知られていませんが、すべり症は間違った認識や対処法によって、かえって悪化してしまうケースが非常に多いのです。
この記事では、すべり症の基本的な症状と原因から、あまり語られることのない「本当の悪化要因」、そして改善に向けた正しいアプローチまで、詳しく解説していきます。ご自身の、またはご家族の大切な体を守るために、ぜひ最後までお読みください。
あなたの症状はどれ?すべり症の代表的なサイン
すべり症の症状は、神経がどの程度圧迫されているかによって様々です。以下のようなサインに心当たりはありませんか?
- 腰痛: 特に、腰を反らした時や、長時間立っていたり座っていたりした後に痛みが強くなるのが特徴です。
- 足の痛みやしびれ(坐骨神経痛): お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、すね、足先にかけて、ピリピリ、ジンジンとした痛みやしびれが出ます。
- 間欠性跛行(かんけつせいはこう): 最も特徴的な症状の一つです。しばらく歩くと足に痛みやしびれが出て歩けなくなりますが、少し前かがみになって休むと症状が和らぎ、また歩けるようになります。
- 足の感覚が鈍くなる、力が入りにくい: 症状が進行すると、足の感覚が麻痺したり、足首や足の指に力が入らなくなったりすることもあります。
これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたします。放置せず、早期に原因を特定することが重要です。
なぜ起こる?すべり症の3つの主な原因
すべり症は、大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。
1. 先天的な骨の異常(形成不全性すべり症)
生まれつき背骨の関節部分の形が不完全なために、安定性が低く、成長とともに徐々に骨がずれてきてしまうタイプです。比較的まれなケースですが、若い時期から発症することがあります。
2. 若年層のスポーツが引き金に(分離すべり症)
ジャンプや腰の回旋・伸展(反らす動き)を繰り返すスポーツ(野球、バレーボール、サッカー、体操など)を行っている10代の若者に多く見られます。
過度な負担によって背骨の一部が**疲労骨折(腰椎分離症)**を起こし、その骨折部分が治癒しないまま放置されると、骨の連結が不安定になり、上下の骨がずれて「分離すべり症」に発展してしまうのです。
3. 加齢による関節のゆるみ(変性すべり症)
中高年、特に女性に最も多く見られるのがこのタイプです。加齢に伴い、椎間板(骨と骨の間のクッション)や、骨同士をつなぐ椎間関節の噛み合わせが弱くなり、ゆるんでくることが原因です。関節の安定性が失われ、徐々に骨が前方へずれていきます。
【重要】すべり症を悪化させる「隠れた要因」
ここからが、特に知っておいていただきたい重要なポイントです。すべり症は、以下のような要因が複雑に絡み合い、進行していくことがあります。
男女で異なる進行パターン
- 男性の場合: 仕事やスポーツなどで腰に強い外力がかかったり、怪我を繰り返したりするごとに、症状が段階的に進行していく傾向があります。重いものを持つ、急に体をひねるなどの動作は特に注意が必要です。
- 女性の場合: 女性ホルモンの影響で関節がゆるみやすくなるため、生理や出産を経験するごとに症状が進行するケースが少なくありません。特に産後は骨盤周りの靭帯がゆるむため、腰への負担が増大し、すべり症を悪化させるきっかけになりやすいのです。
見過ごされがちな「甲状腺」との関連
あまり知られていませんが、甲状腺機能に異常がある場合、すべり症が進行しやすいことがあります。甲状腺ホルモンは全身の代謝や骨の健康にも関わっており、そのバランスが崩れることが、関節や骨の変性を助長する一因になると考えられています。腰痛が長引くだけでなく、疲れやすさや体調の変動など、他に気になる症状があれば、一度内科的な側面から体をチェックすることも有効かもしれません。
最も怖い!「間違った治療」と「セルフケア」
良かれと思ってやっていることが、実はすべり症を悪化させている…。これは、非常によくある悲しいケースです。
- 痛みを誘発するストレッチや筋トレ: 「腰痛には腹筋・背筋」と信じ、腰を反らすような運動を無理に行うと、かえって骨のずれを助長し、神経圧迫を強めてしまいます。
- 自己流の強いマッサージや整体: 痛い部分を力任せに押したり揉んだりすると、炎症を悪化させたり、不安定な関節をさらにゆるませてしまう危険があります。
- 不適切なコルセットの長期使用: 痛みが強い時期のコルセットは有効ですが、長期間頼りすぎると、自分の体を支える筋力が衰え、かえって腰の不安定さを招きます。
「これをやれば治る」という安易な情報に飛びつくのではなく、自分のすべり症のタイプと状態に合った、正しい対処法を知ることが何よりも大切です。
では、どうすればいいのか?
すべり症の症状を改善し、悪化を防ぐためには、以下のステップが基本となります。
- まずは専門医(整形外科)を受診する: 自己判断は禁物です。レントゲンやMRIなどの画像検査で、骨の状態を正確に診断してもらうことが第一歩です。
- 正しい保存療法を行う: 多くのすべり症は、手術をしなくても保存療法で症状をコントロールできます。
- 薬物療法: 痛みやしびれを和らげる薬を使います。
- 理学療法(リハビリ): 専門家の指導のもと、お腹の深層筋(インナーマッスル)を鍛え、腰を安定させるための正しい運動療法を行います。腰を反らさず、腹圧を高めるようなトレーニングが中心となります。
- 装具療法: 痛みが強い時期に、一時的にコルセットを使用して腰を保護します。
- 日常生活を見直す:
- 姿勢を意識する: 腰を反らしすぎない、前かがみになりすぎない。
- 避けるべき動作を知る: 重いものを持ち上げる、急に体をひねる、長時間同じ姿勢でいることを避ける。
- 体重管理: 体重が増えると、その分腰への負担も増えます。適正体重を維持しましょう。
症状が進行し、日常生活に深刻な支障が出ている場合には、手術が検討されることもあります。しかし、まずはこうした正しい知識を身につけ、ご自身の体と向き合うことが改善への近道です。
まとめ
つらいすべり症は、単に骨がずれているだけでなく、性別、生活習慣、体質、そして間違ったケアなど、様々な要因が絡み合って悪化していきます。
- すべり症には主に3つのタイプがある
- 男性は外傷、女性は生理や出産が進行のきっかけになりやすい
- 甲状腺機能の不調が関連している可能性も
- 自己流の間違ったケアは症状を悪化させる
大切なのは、正確な診断のもと、自分の状態に合った適切な治療とセルフケアを根気強く続けることです。この記事が、あなたのつらい症状の原因を解き明かし、正しい一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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